クリスマス、外は雪。

「おはようございます、ご主人様」

「寒い」

「寒いですか?」
 きょとんとなる。そう言うのは屋敷内の暖房は効かせているからだ。

「お風邪でも」
 それに少しムッとして、
「違う」
 返す。それにアルベルトは察した。

「・・・・ご主人様」
 寝ているルゥに近づき、その上半身を抱いて起こす。それにグッと抱きついて、
「暖炉より君の方が暖かいからね」
 アルベルトの表情を見て笑う。相も変わらず顔が赤いのだ。それに抱いている上、心拍が上がって身体が熱い。
間違いなく暖炉よりは効くが、アルベルトの心臓が危うい。

「これでも考えてしてるんだよ。破裂しちゃ困るから」
 クスクス笑う。それに赤みを帯びながら、
「それは・・・・ありがとうございます」
 ほほ笑む。

 それからしばらくして、
「にぃーーー様」
 リィが部屋に駆け込んできた。

「にぃ様、街でイベントがあるんだ。一緒にいこ」
「僕はいいよ。それにリィ、クリスマスぐらい家で」

「やだ、行こうよ、にぃ様」
 こうなるとどうしようもない。それにすぐ納得し、
「わかったからそんなにひっぱらないの」
 乗る事にする。


 街――――

「今年はいつになく冷えるね」

「そうですね。大丈夫ですか」

「大丈夫だよ」

 今年はいつになく寒く、

 少し離れた所でステファニーの横ではしゃぐリィをほほえましく見ながら、
「ディス。僕は少し疲れたからこの近くでお茶でも飲むと言っておいて」
 頼むと、
「わかりました」
 ディスは応えてリィ達の方へと向かう。

 それに振り返った矢先、細い路地が目に入った。そこに誰かが寝転がっている。

 自分と年齢があまり変わりなさそうな・・・・・

「どうしました?」

「いや・・・・なんでもないよ。行こうか」

「はい」
 そのまま歩く。その背に震えながら手を伸ばしている事に気がつかないまま。

 凍死者が前年より多く出た。その中に中年の女性と10代後半になる少年が含まれていたという。




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