数日後・出発日当日――――

「にぃ様はやくぅ」
 リィが近くで地団駄を踏んでいる。時折り服の袖を引っ張る。

「そんなに急がなくても、別荘は逃げたりしないから」
「う〜っ!僕さきに降りてるっ!いこ、ステファニーちゃん」
 座っていたステファニーを掴んで連れて行く。

「リィ様、だめですよステファニー様にそんな」
 ディスがあわてて追いかける。

「もうせっかちなんだから」
 ルゥは茶を飲む。いつものように起きて行こうかと思ったら、アルベルトより先にリィが部屋に突入してきて
否が応でも起こされたのだ。

 途中で起こされたので少し気持ちが悪くなり、後から持ってきた紅茶を同じように起こされた母親とステファニーと
飲んでいたが、先ほどのように急かすリィに地団駄を踏まれ、最後はステファニーを連行に近い形で持っていく。

「あらあら」
 母親は笑って席を立ち、
「私も先に行ってるわね」
 部屋を出る。

 それに、
「ふぅ。騒がしいね今日は」
 茶を飲み、
「はい」
 彼を見上げ、
「まぁ・・・・いいかな」
 フフッと笑う。

 しばらくしてルゥも席を立つと、アルベルトが何かに気づく、胸のリボンが動いた際にずれた。
座っている際にリィにさんざん揺らされたのが原因だろう。

 アルベルトはひざまずいてリボンを結び直す。

 結び直した後、立ち上がろうとしたアルベルトの両肩をルゥは掴んだ。

 そして顔を寄せる。


それはまさしく拷問。

寄せられてくる唇。それに思わず突き放した。


 ステファニーの声が脳裏をよぎる。


 不安に満ちる瞳。


 怖い。でも知りたい・・・・・


ねぇ・・・・



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