翌日・昼――――
街――――
「どうしました?調子でも悪いのですか?」
アルベルトがディスを心配そうにのぞきこむ。あの後から不安な表情をしていた。
「別に」
返す。
「?」
だがしばらくして思った所でどうにもならないと踏み、その気持ちをふっきるかのように息を切り、
「所であの子供、別荘の方に回すんだってな?」
話題を振った。
その別荘に先方としてその少年もその組に入っていた。
「えぇ、もう大丈夫だと、その分を返すと言ってましたよ」
「また無理してならなきゃいいけどな」
「そうですね」
「さて、俺たちもシーズンの為にいつもより多めに買っていくか」
そう言ってさまざまな所を立ちよったのち、本屋へと行きつく。
その店内でディスと一緒に本棚を見歩いていると、一人の老人が台を上って見上げているのを見た。
どうやら目当ての本を取りたいらしいが、届かないので困っている様子だった。
「お取りしましょうか?」
「おお、すみませんなぁ」
台を降りると、代わりに一段上がってその本を取る。
「ありがとうございます」
本を両手に会釈し、置いていた杖を持ってレジへと向かった。
その頃――――
「貴様どの面下げて帰ってきたっ!」
心配の一文字もなく少年を罵倒する。少年は抜け出してレルの屋敷に戻って来ていた。
「申し訳ございませんっ!」
土下座して謝る少年。
「もういい、この屋敷から出ていけっ!」
最近の事もあり、すこぶる機嫌が悪い。
「そんなっ!お願いですっ!もう一度やらせてくださいっ!今度はしくじりませんからっ!」
「うるさい黙れっ!さっさと荷物をまとめて出ていけっ!お前の顔なんか二度と見たくないっ!」
レルは振り返って立ち去る。その後をあの執事が追って行こうとすると、ガシッと少年がその執事の腰を掴む。
それに冷たく振り払い、
「ご主人様が決めた事だ、そうそうに出て行ってくれ」
その後を追った。
「・・・・・」
茫然とした少年は何も言わずに部屋の荷物を取り、屋敷を後にする。うなだれながらフラフラと歩いていた。
時折り人に小突くような形で当たって、最後には大きく当たったが、何も言わずその場から姿を消した。
その夜、ルゥ達は馬車でその屋敷へと向かっていた。
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