それから6日後、ピーク寸前。
 黒板に書くスピードが尋常ではなくなってきていた。チョークを何本も折っている。
 そんな状態のさなか、またあの助手が難題を持って教室へ入ってきた。

 なんでもまた試射していて、歩いていた女の頬にかすり傷をつけ、その彼氏と仲間一人が復讐しに来たらしい。
 撃たれた相手が出来ない場合は、代理として撃ってもらうという方法がある。前回の櫻井が牧と言ったような具合に。
(あの場合は櫻井に撃ったものをみなし、牧が代理となる)
 ちなみに、それと先制した者に仲間がいた場合は、たとえ撃たなくても同罪(連帯責任)となる。

 それに牧は感情を抑えつけながら、
「片付けるならさっさと片付けてくれ、5分以内でだ」
「5分もかかりませんよ先生。すぐ失礼させていただきますから」
 そう言って、再び講義を開始。

 だが5分経過してもなかなか片がつかない。それどころか、あせって牧の横すれすれにサバイバルナイフが刺さった。
 
その瞬間――――

 
・・・・・プチ・・・・・

「・・・・おい、5分経過したぞ」

「すいませんね、先生。すばしっこくって」
「そこも計算に入れていたと思っていたがな」

 フランクを抜き、
「失せろ。俺は今、虫の居所が悪いんだ」
 振り返ったその間、ケラケラ笑う相手の、
「先生、虫の居所が悪いだけで死にたくはな――――!」
 笑いが凍りついた。それは学生も同じ事。

「クソガキ・・・・!とっとと出ていけ・・・・!」

「あ・・・・わぁ!」

 教室は階段式で、相手は上からぶっ放す。牧はリバーブレイクを発動。よって、彼の銃は破壊され、それにゾッとして逃げようとすると、

「おい」

 黒板に刺さったサバイバルナイフを逆手に引き抜き、
「忘れものだ」
 思いっきり投げ飛ばし、相手のすれすれにドスン!見事撃退。そしてタイミングよくチャイムが鳴り、
教室の入り口に歩む牧の前をその助手が遮り、教えてほしいと懇願する。それに誰もが、

 
間が悪いっ!

 と思った次の瞬間、案の定、顔面を思いっきりストレートで蹴り飛ばされ、その場を後にされた。

(ちっ、よりにもよってあんな奴の代理をするとはな・・・・!)
 怒りはますます高まる一方。



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