「課長・・・・まさか」

 それにわずかな沈黙。

 牧は冷たい表情で、

「俺が殺した」

 口にした瞬間、銃弾が横をかすめた。

「なぜですか。2課長は貴方の事を待っていたんですよ。貴方の事を誰よりも好きでいたんですよ。なのにどうしてっ」

 それに動じることなく、わずかに首を傾け、

「知るか」
 冷たい言葉で清水を撃ち抜いた。

 それにフランクをホルスターに戻し。次にパソコンを叩き、マウスを数回たたいて立ち上がり、背広を肩にかけ、
死んで血が流れる清水に一瞥もくれてやる事なく、課内を出た時、

「床、片づけておけ」
 そう言って通り過ぎる。そこには――――

「了解」
 沢村を含め、数名の部下がそこにいた。

 そしてそのパソコン画面には職員のデータ。清水が映っている。そこには、削除と記されていた。

 (帰って来たぁ〜)

 櫻井は空港へ降り立った。空はすでに藍色に染まっていた。

(うわぁ、見てるし・・・・)

 人の視線が痛い。それは――――

 あれから沢村の車に乗って家から荷物を持って出たまではいい。そこからが問題。
 道路工事中で一車線がだめになっており、渋滞がひどい。他の車線だと遠回りになるため、どのみち間に合わない。

 その時、
『仕方ないなぁ』
 あるものをパコッと車体の上に乗せ、音を鳴らす!

『ちょっ・・・・何もそこまでっ!』
 緊急車両のサイレン!一般車がどうにかこうにかして避けていく。

『急ぎなんだろ』

『いや、急ぎでも。そこまで』

『緊急車両が通りまーす!道を開けて下さーい!』

(かんべんしろーっ!)

 おかげさまで空港には着いたが、皆に標的の的にされたのは言うまでもない。

「うん、わかった」
 そう言って電話を切る櫻井。少し行列のあるタクシー乗り場で待ち、番が回って来た。

「どちらまで?」

「えっと」



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