その頃、櫻井はというと――――

(音がやんだ・・・・終わったのかな)

 壁にはっついていた。すると――――

 ガチャ、キィー

 肩を叩かれる。だがすぐに払う。

 叩く、払う、叩く、払う、叩く、払・・・・ガシッ!

「おわっ!なんだ・・・・!でっ!」

「うるさい」

「・・・・すいません」

「聞いていたのか」
 その問いに嘘をついても仕方がないので、
「途切れ途切れだよ。内容までは。でもあの」

 言葉を止めるが、

「なんだ」
 
「・・・・その」
 うつむき加減に目を伏せ、
「言え」
「あの人なら何かしでかすんじゃないかなって。あの執念深さ尋常じゃなかったし」
 答える。

「尋常を更に超えるな」

「え」

「お前はいつものようにしていろ、俺が片づけてくる」
 背を向けた時、
「ま、待てよ」
 ガシッとあの時のように牧の手を掴んだ。

「行っちゃダメかな」

「前も言ったが、保証はしない」

「それでもいい」

「・・・・ミリィ」
 その背後にいたミリィは、
「任せてちょうだい。坊やは必ず守るわ」
 不敵な笑みを見せた。

 タイムリミットは午前10時



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