夜・コンサート終了――――

「あぁもう終わったよ。え、どうだったって?もちろん成功したよ。うん、じゃあ、すぐ帰るよ。とう――――」
 その瞬間、携帯を抜き取られる。

「何するんですか」
「どんな女か声きかせろよ」
「返して下さい。あ、車道にっ!」

「大丈夫だって」

 抜きとった携帯に耳を当てようとした次の瞬間、入りこんだ大型トラックがけたたましいクラクションを鳴らして
迫って来ている。これは――――

 止まらない――――

「危ないっ!」

 佐々木はバッと身を乗り出して、いつきを突き飛ばした次の瞬間!

「――――!」

 
ガンっ!

 叫び声がする。

「佐々木君っ!」

「揺らしちゃだめだ!救急車を早くっ!」

 目線が低い・・・・・それに冷たい・・・・水?

 それになんだろう。気が遠くなってきた。早く・・・・早く帰らないといけないのに――――

 父さん。


ピッピッピッ




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