ピッピッピッ

規則正しい音がする。

「――――っ!」
「――――っ!」

 それに何かやけに騒がしいな。

 けど目が重い。後にしてくれないか。

 眠たいんだよ、とても。後・・・・


ピーっ!ピピピピピピ!ピピピピピピピッ!

「〜っ・・・・うっさい!」

 ガシャンっ!


朝――――

 あるマンションの一室、

「う〜・・・・っ」

 起き上がる一人の青年。

「さて」

 立ち上がり、まず最初に郵便受けに入った新聞をひっこ抜いてテーブルに置き、背広を取って身支度を整え、
パンをトースターに突っ込み、その間にコーヒーを入れる。

 その間にも外で人の声がざわつきだす。

 パンがカチンと飛び出し、それにバターを塗りつけ、軽く添え物を置き、テーブルに着く。

 それを食べながらテレビを見る。

 そしてテレビが天気を流し出す時間。テーブルを片づけ、置いた新聞をカバンに入れ、最後にテレビを消し、
ゴミを持って家を出る。

 マンションは四階建て。その二階から出てきてガチャンと鍵を閉め、下の階へと降りる。そこに――――


「おはようございます」
 ここの管理人らしき初老の男性がほうきを少し支えにし、その青年にあいさつする。

「管理人さん、おはようございます」
 それに管理人は少しうなづいてその青年の持つ半透明のゴミ袋に目をやる。
「燃えないゴミが入ってるよ」

「え、そうですか」

 青年は思わず見る。

「私が抜いとくよ。まったく1つあっても持っていかないなんて、厳しいものだねぇ」

「仕方ないですよ。決まりですから。それよりいいんですかそんな事をしてもらって」

「気にしなくていいよ。いってらっしゃい」

「行ってきます」

 そう言って駅へと向かう人波に流され、改札をパスで通り、持ってきた新聞を見ながら電車を待つ。
 しばらくして電車が来、新聞をカバンに入れ、少し窮屈な車内から流れゆく外を見る。

 下りてしばらく歩くと大きな建物がある。その中へと入り、受付でネームが入ったカードを受け取り、
それを首にかけ、エレベーターに乗って自分の職場の自動ドアが開く。

「おはようございます」

 そう言いながら自分の席に着き、向かいの席を見ると、
(あれ)
 と思った。その矢先、
「佐々倉君」
 上司らしき人物がやって来、佐々倉と呼ばれた青年は席を立って向かい合う。

「外ヶ内君はいつも通り休み。それと真田君しばらく休み」
「え、外ヶ内さんはいつもの事ですけど、真田もですか?昨日仕事してましたが、そんな調子が悪いようには
見えませんでしたけど」
 首をかしげる。話からして仕事は一人二組、その向かいの席の真田がパートナーのようだ。

 それに苦笑しながらほほをかき、
「そ、そうだねぇ・・・・で、その外ヶ内君と組んでる人と彼が戻るまでの間してくれないかな」
 佐々倉の背後をチラッと見る。

 それに佐々倉は少しひきつりながら、振り向く。

「外ヶ内さんの相手って・・・・・」

「はよーっす」

 まさに体育会系ですと言わんばかりのがたいの大きい男がそこにいた。

「多田君」



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